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包括システムによる日本ロールシャッハ学会
Japan Rorschach Society for the Comprehensive System

包括システムによる日本ロールシャッハ学会
Japan Rorschach Society for the Comprehensive System

認定資格制度について

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認定資格制度を創設しました

2015年6月7日の第21回総会における承認を得て,包括システムによるロールシャッハ・テスト認定資格(Certificate of Proficiency in the Rorschach Comprehensive System:略称CPCS/シーピクス)の制度を設けることとなりました。
学会設立から20年以上を経て,包括システムによるロールシャッハ・テスト(以下,CS)は様々な領域,場面で用いられるようになりましたが,真に活用されたと言えるのは,CSが心理臨床の中で適切に役立てられ,人々の精神保健や福利に貢献できた場合です。したがって,CSを用いる者には,その基本的なことがらを理解し,習得していることが求められます。本学会ではこれまでも研修活動に力を入れてきましたが,このたびはCPCSの制度を創設し,この課題に取り組んでいきます。
CPCSは,基礎的な施行法とコーディングを習得していることを示すレベル1(CPCS-1),基礎的な解釈を習得していることを示すレベル2(CPCS-2),CSの全体を総合的に教授可能なレベル3(CPCS-3)の3種類から構成されます。
CPCSによりCSの基礎が確実なものとなり,教育や研究の活性化,心理的援助の質の向上,社会貢献につながっていくことを期待します。
まずはレベル1(CPCS-1)の制度整備に取りかかり,順次,レベル2(CPCS-2)及びレベル3(CPCS-3)へと進んでいく予定です。認定に必要な要件や申請の手続きについては,追ってお知らせします。


             2015年8月1日
  
               包括システムによる日本ロールシャッハ学会
                           会長  野田昌道

 
 

 CPCS(シーピクス)の「レベル2(中級/CPCS-2)」に関するメッセージ

2015年6月7日の総会において、シーピクスが誕生してから、早くも6年が経とうとしています。その間、多くの方々がこの認定資格に関心をお持ちくださり、2021年2月1日現在、87名の方々がレベル1を取得されておられます。主としてレベル2を目指されておられる方々に向けて、過去2回のA研修会を開催した経験から、ここに改めてシーピクス制度の意味を含めて、ご紹介させて頂きます。

 包括システムによるロールシャッハ・テストを使いこなす目的は、主として心理支援における援助そのものに役立たせるためであり、その中に対象者の自己理解の促進も含まれています。正確にコーディングすることが大切とされるのは、ひたすら対象者のありのままの有り様をデータに正確に反映させるためであって、重箱の隅をつつくようなことが無理に要求されているわけではありません。

 A研修会を受講された方々は既に体験されておられるように、「理解度確認のための試験」においては、コーディングや構造一覧表の作成に加えて、架空事例の心理支援について記述を求められます。これは、通常の臨床実践において私たちが行っていること、そのものです。

たしかに、A研修会の「理解度確認のための試験」は、レベル1と違って、格段に難しく感じると思います。時間も余裕が十分にあるわけではありません。しかし、これも私たちの通常の臨床実践とまったく同じことと思います。1つのプロトコルをコーディングして構造一覧表にしてレポートするのに、何日も何日も費やしていることはできません。限られた時間のなかで、対象者やご家族に役立つ支援計画を普段、書かれていると思います。

 シーピクス制度は、受講者の実力を測るためだけのものではなく、この制度を通じて、臨床家としてスキルアップして頂くためのものです。ですから、合格できなかったからと言って、ご自分の臨床が否定されるわけでは決してありません。むしろ、まだ腕を磨く余地がある、自分には伸びしろがある、と思って頂きたく思います。研修会や試験は、認定資格委員会が心を砕いて準備しています。記述式試験の採点も、予めチェックポイントを設定したうえで、お名前やご所属などの個人情報を一切秘匿した状態で、複数の眼で熟読し、公平中立に行っています。

 ぜひとも、何度もチャレンジして頂き、レベル2をクリアーするためのプロセスそのものが貴重な研鑽の機会となり、ひいては日々の臨床に役立つコンピテンシーの獲得につながるように、この制度を活用して頂けましたら幸いです。

 なお、A研修会の合格者は複数でていますが、まだレベル2の申請者はおられません。第一号の誕生を、心待ちにしております。



2021(令和3)年2月12日
認定資格委員会委員長 津川 律子